武豊町議会がYouTube配信を始めるまで

たいけんしたこと

武豊町議会の一般質問が、YouTubeで見られるようになりました。

こう書くと一行で終わってしまうのですが、ここに至るまでには、それなりに長い道のりがあります。実はこの話題、僕が議員になる前からあったそうです。

今日は、その「始めるまで」の話を少しだけ。

僕が議員になる前から、話はあった

「議会の様子をネットで見られるようにしたら」という話は、僕の発案ではありません。議員になる前から、議会の中で話題にはなっていたそうです。

僕はその流れの途中から加わった一人。議員になって、議会だより特別委員会の副委員長という役をいただいたとき、この宿題がまわってきました。

視察先で見た、ひとりの職員さん

委員会で、先進的な取り組みをしている議会へ視察に行きました。

そこで見たのは、たった一人で動画編集を担っている職員さんの姿でした。

正直に言うと、編集の技術そのものは、僕も習得しているものでした。「ああ、あのやり方か」と手順が頭に浮かぶ程度には。でも、技術の話ではなかったんです。違ったのは、熱量でした。この人だから回っている。そういう仕事の仕方が、画面の作り込みからも伝わってきました。

そして視察のもう一つの収穫は、移動中や合間に、委員のみんなと率直に意見を交わせたことでした。会議室では出てこない本音が、道中ではぽろぽろ出てくる。そこで固まった方針が、これです。

急激な変化はハレーションを起こす。だから、ゆっくりやろう。

僕にその手を動かせと言うのか

視察から帰る道すがら、考えていました。

武豊町で同じことをやるなら、誰の手が動くのか。

僕の手は、動かせます。編集はできる。でも僕一人の手では続かないし、続けるとなれば、職員さんの手も動かすことになる。それも一度きりではなく、定例会のたびに、継続的に。あの視察先の職員さんの熱量を、制度として誰かに求めるのは違うんじゃないか。

「僕にその手を動かせと言うのか」——と、頭の中でひとりごと(元ネタが分かる方、握手しましょう)。

それに、僕はいつまで議員でいるか分かりません。担当の職員さんだって、いつか替わります。「谷川がいるから回る」「あの人がいるから続く」では、その人がいなくなった瞬間に質が落ちる。誰が担当になっても、誰がいなくなっても、同じ質で続けられること。属人化しない仕組みを選びたい、と思いました。

だから、小さく始めた

方針は「ゆっくり」。なので、段階を踏みました。

2024年2月、まずは議員全員分の短い自己紹介動画。2025年1月、委員会メンバーが議場までを案内する動画。顔が見えること、場所が見えること。議会を身近に感じてもらう入口として、小さく作って、小さく出しました。

そして2026年6月、一般質問の録画配信。最初の動画から、2年半近くかけての到達です。振り返ると本当に「ゆっくり」でしたが、その間にハレーションが起きることは、ありませんでした。

それは僕の進め方がうまかったからではありません。あの視察で、委員のみんなと同じ景色を見て、考えを共有できていたこと。そして何より、議会の皆さんも職員さんも、ずっと協力的だったこと。ひとりの手柄ではなく、みんなで少しずつ手を動かした結果です。

ちなみに、この取り組みを担ってきた議会だより特別委員会は、今年度から「議会広報委員会」に格上げされました。一時的なプロジェクトチームから、議会の恒常的な組織へ。誰かの思いつきで始まったことが、仕組みとして根を下ろしつつあります。

5時間を、5万円で買う

配信にあたって選んだのは、議場の映像を自前で撮って編集するのではなく、ケーブルテレビのCCNC(知多半島ケーブルネットワーク)から購入するという方法でした。実はこの案、視察のころからすでにあったものです。

1日分の映像が、5万円(税抜)。一般質問は2日間なので、定例会ごとに10万円。年4回の定例会で40万円、税込44万円です。この金額は、令和8年度予算書の71ページにきちんと計上されています。予算書は町公式サイトの「まちの予算」ページで誰でも見られますので、気になる方はぜひ。

一般質問は1日で5時間を超えます。もしこれを自前でやったら——撮影して、確認して、編集して、書き出して、アップロードして。そこにかかる職員さんの時間を人件費として考えたら、5万円は安い。動画制作の大変さを自分の体で知っているからこそ、そう判断できました。

かっこよく言えば「外部リソースの活用」ですが、本音を言えば、誰かの熱量に依存しない仕組みにしたかった、ということです。

わが家では、見られなかった

配信が始まって、ひとつ、うれしいことがありました。

家族が、初めて議会を見てくれたみたいなんです。

白状すると、わが家はケーブルテレビを引いていません。だから議員の家でありながら、家族が議会の映像を見る手段が、これまでなかったんです。議場に足を運んでの傍聴となると、平日の昼間、あの少し緊張感のある部屋に入っていくことになる。これはなかなかハードルが高い。

でもYouTubeなら、スマホで、部屋で寝転びながらでも見られます。

うちの家族と同じように、「見る手段がなかった人」「わざわざ見に行くほどではなかった人」は、町にたくさんいるはずです。そういう人が、ふとした拍子に議会を眺められるようになった。この「気軽に見れる」は、些細なことのようで、実はすごく大きいと思っています。同じように見てくれる人を、これからもっと増やしていきたい。

僕がよく言う「100年先のたけとよ」。それは、僕が死んで、僕の次の世代さえもういない、そのあとの世界の話です。

つまり100年先には、僕の手は届きません。どんなに頑張っても、直接は届かない。だとしたら、そこへ届ける方法はひとつしかなくて、次の世代に手渡すことです。まず、僕の次の世代が政治に興味を持ってくれること。スマホの画面で、寝転びながらでも、議会を眺めてくれること。

100年先は、そのリレーの先にしかありません。家族が初めて議会を見てくれた日は、僕にとって、その第一走者としての小さな一歩でした。

完璧じゃなくても、まず届ける

YouTubeでの配信は、ゴールではなく一歩目です。

画面の中の議場は、静かで、ちょっと近寄りがたく見えるかもしれません。でもそこには、町を良くしようと質問を練ってきた議員がいて、答弁を準備してきた職員さんがいます。

画面の向こう側にも、「人」がいます。

次の定例会、よかったら、お茶でも飲みながら覗いてみてください。

武豊町議会YouTubeチャンネル

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